経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.032 エノテカ株式会社(廣瀬恭久氏)

好奇心を持って、行動できる人間は伸びる エノテカ株式会社(廣瀬恭久氏)

樋口:
社長自身も面接を担当されるそうですが、どんな学生を欲しいなと思って新卒採用に投資されているのですか?

廣瀬:
我々はコンシューマー向けの接客業が大きな柱で、他に卸販売、管理部門などがあります。やはり人と接する仕事が多いわけですから、学歴よりも挨拶ができるかどうかなど、基本的な事がまずは大事なんです。あとは目の強さと言いますか、目の輝きがどれだけあるかですね。

目の輝きというのは、どんなプロセスで見ていくんですか?

会社説明会で1、2時間も説明をしてると、目の輝きや前のめりになっているスタンス、姿勢を見ているだけで目星がつくんです。また、たとえば受付で履歴書を片手で渡す人もいれば、こちらの目を見て「よろしくお願いします!!」と言って渡す人もいます。そうした何気ない態度からも弊社に入りたいという熱意は伝わってくるものです。加えて面接も3回実施していますので、その中でも見ています。

意欲や姿勢といったものを重視されているのですね。近年就職難の影響で、学生の就職活動が活発化しており、志望度が低くてもまずは選考に参加してみる、という学生も増えているようです。御社の場合はどうですか?

最近は就職難ですので、学生も範囲を広げて試験を受けてくれているようです。入りたいという意欲は重視しているものの、かつては面接にも来てくれなかったタイプの人たちが弊社を受けに来てくれているという意味では、現在の状況はチャンスだと思っています。

今、御社は注目を集める人気企業のひとつだと思います。

ありがとうございます。去年と比べて、今年の新卒採用(2012年度)は3倍ほど多く応募が来ています。採用チームのスタッフがホームページを工夫したり、いろいろな取り組みをしてくれていますから。今までのアクセス数から比べれば会社の人事のやり方が格段に進歩して上手くなっているように思います。

これまで採用のお話を伺ってきましたが、社内の方にお話を移したいと思います。現在、御社でも会社をまとめていく組織やチームがおありになると思うのですが、どういう人達がリーダーになっていくのでしょうか?

いろんな事に興味を持って行動できる人ですね。
ひとつの例ですが、弊社は現在、香港、シンガポール、そして2010年に上海に海外出店しています。新規出店計画を進め、誰を送るかと考えた時に手を挙げてくれたのは、入社して1年少々の社員だったんです。その社員は周囲からの評判がすごく良かったし、入社した時からいろんな事に興味を持って質問していました。店長に相談すると、「賭けですけど、やる気があるからできるかもしれない」ということで、上海に行かせました。今オープン6ヶ月目ぐらいですけど、現地の店長と二人で本当にうまくやっているんですよね。リサーチや文章を書かせてもやはり目を見張るものがあります。
何でも興味を持って疑問を持って事に当たっていく若い人達はいいなと思います。そうする事によって自分が責任のあるポジションを与えられた時、その前に準備ができてますから実行できるんです。

見ているモノに対する角度が違うということですね。将来が楽しみです。

そうですね。この前、その社員に会いましたら、やっぱり言うことが違っていて、「中国という大きなマーケットを任せていただいてありがとうございます!本当に楽しいです。どこまでできるかわかりませんけど、毎日張り切ってやってます!!」と言っていました。大したもんだなと。なかなかそう言ってくれる人は少ないんですよね。

角度が違うと言動も大きく異なりますよね。たとえば、学生ランキングで1.2位を争うような企業でも、「物事を見ている角度」を見て採用していると聞きました。企業が奪い合うのもこの類の人材なのでしょうね。大切に育てていきたいですね。ところで好奇心を持って行動するタイプ以外に、会社を任せていける社員の共通点は何かありますか?


ワインショップ・エノテカIFC上海店

当事者意識が強いことですね。やはり自分が与えられた場所で自分がどう解決していくのかという当事者意識が非常に強いことが大事だと思います。最近の若い人達はコレをやれとかアレをやれとか言われた方が楽で、自分から積極的に会社に関ろうとしている人が少ない気がします。

中途と新卒の採用の話の中で、会社の価値観の中に交わるというお話しがありましたが、そういう価値観が共有できないと、一緒にお仕事をしていても難しいということでしょうか。

社員にもそれぞれの生活や家庭環境があり、お子さんがいる方は優先順位や価値観がどうしても違ってくると思うんです。しかし、会社に来ている間はお客様のことを第一に考えて、当事者意識を持って問題を解決していくことに集中してくれたらと思っています。