経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.037 アサヒビール株式会社(丸山高見氏)

異質な環境に「どっぷり」漬かるのが成長のもと アサヒビール株式会社(丸山高見氏)

樋口:
もともと男性社員が多いとのことですが、女性が入社されて会社が変わりつつあるものはありますか。

丸山:
当社では平成2,3年頃から本格的に女性総合職の採用をスタートさせました。今、その時に入社した彼女たちがどんどん管理職になっています。管理職への登用も性別関係なくおこなわれています。徐々に本当に男女が差別されずに活躍できる、という風土になりつつあると思います。今では非常にオリジナリティのある提案で得意先や上司をうならせる女性も多く、上司にとっても、良い刺激となっています。それを見て、また女性の入社者も増えますしね。

女性の採用・登用というのは当初からスムーズにできたのでしょうか。

以前は女性が入社してくると、どのように扱ってよいかわからず大変だった、という事業場もあったというのも事実です。今も女性活躍推進については毎年おこなっている所属長研修の中でカリキュラムの1つとしています。女性活躍推進が企業にとってどれくらい大切かを説明し、所属長が女性社員を差別したりすることだけは絶対にないように浸透させています。取り扱っている商品がアルコールということもあり、以前は「超」がつくほどの男性社会でしたから、その転換を図ることは生半可ではありません。少し時間はかかりますが、息の長いやり方で今後も取り組んでいきます。

女性活躍推進は今も途上にあるということでしょうか。

そうですね。風土はすぐには変わりませんが、会社の方針をしっかりと示しながら、具体的事実を積み重ねていくことが重要だと思っています。


少しお話が戻りますが、外国人も採用されているとのことでした。それは多様性の一環として意図しておこなわれているのでしょうか。

そこは意図しています。当社では海外売上率を現在の7%から、2015年までに20%以上にしたいと考えています。そうするには海外で活躍できる社員は必須です。
実は、当社人事部にもオーストラリア国籍の社員が1名配属され、非常に活躍しています。彼を中心におこなっているのが、『国際塾』という研修があります。欧米でのビジネスマナーやちょっとした英語でのコミュニケーションをアサヒグループの各事業所で2~3時間講義するのです。この研修は時間が短いので、英語の習得よりも異文化理解、語学学習にむけてのモチベーションを上げることに重きを置いています。今後の当社の方針を考えるとダイバーシティへの理解や英語は必須になりますので、社員にそれらを学ぶことは楽しい、生涯が豊かになるという意識を持ってもらい、英語の学習や外国籍の方との交流に積極的になってくれればよいと思っています。

歴史のある組織の中で多様性を受け入れ、組織を変化させていくのは大変なのでしょうね。歴史ある会社ですので、伝統と変化のバランスが難しいのではないかと想像します。社員の皆さんにとって、昨今の「変化」はどのように映り、感じられているのでしょうか。

アサヒグループは酒類事業が中心を占めているので、グローバル化といわれても、やはり主流は国内事業、国内酒類事業という認識を持っていました。しかし、急速に周りの環境が変わってきたのを目の当たりにし、社員の認識は変わってきています。昔からチャレンジする風土はありましたので、国際化の中期計画を立て政策を採り入れた今では、全社的に一致団結していますし、人事でもそのための施策に取り組んでいるところです。