経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.039 株式会社八芳園(長谷晴義氏)

お客様へのご提案のため、立場の近い2,30代をマネージャーに 株式会社八芳園(長谷晴義氏)

樋口:
先ほどお話されていた3つの点は、入社された後に成長する人材の共通点でもあるのでしょうか。

長谷:
そうですね。部署は違っても共通している点です。入社した社員の中には、当初営業を希望していても宴会やサービスなどの接客部門に配属されるケースもあります。成長できる人材は、どのような部署に配属されたとしても、与えられた仕事をしっかりとやりながら、自分の将来のビジョンややりたい事に向かって努力出来る人です。どのような部署に配属され、どのような仕事を任されたとしても、しっかりと責任を持って最後までやり通すことが肝心なのです。その中で、わからないことが出てきても放置せず、先輩にアドバイスをもらいながら解決して自分の知識や経験にしていけるスタッフは、やはり半年や一年程で歴然と差が出てくるように感じます。

お話を伺っているとお客様や上司からの指摘や要望を受け入れる柔らかさが必要なのだろうな、と感じました。ある意味では不条理な環境に慣れているということが最初のステージをくぐりぬけるポイントになるのでしょうね。

そうですね。やはりお客様から色々なクレームを頂くこともあります。たとえばサービスをしたもののやり方が悪かったり、お客様との約束に対してきちんと対応できなかったりするのは明確に社員自身の信頼関係の問題ですが、そうでなくても、クレームが起きた時にはしっかりとお客様の話を聞いて受け止め、自分でできる範囲でお詫びをさせるようにしています。またそのようなことに各自で対処できるよう、社員にはある程度権限をもたせています。ただし自分自身で解決できないものは必ず上に報告し、指示を仰ぐように教育しています。その場での対応力に加えて、社会人としての基本である「報・連・相」も仕事で成果を出すための重要なポイントですね。

B to CのサービスはB to Bと比較するとクレームが多いお仕事ですから、ストレス耐性は必要なのでしょうね。今までのお話に出てきた仕事の仕方や会社の価値観を伝えるのには、どのくらい時間がかかるものなのでしょうか。

まずは最初の1か月ほど、新入社員研修で徹底的に指導します。ただし、婚礼という仕事柄4月には繁忙期に入りますので、基本的なことを教えた後はOJTで実践しています。その上で2週間に1回程度、定期的に研修を設けてフォローするようにしています。また、2年目社員が1年目社員をトレーニングする、3年目社員が2年目社員をトレーニングするというように、小さなユニットを作って段階的に教育する仕組みも取り入れています。


ありがとうカード

なるほど。接客の基礎を徹底的に指導していくのですね。ところで御社の管理職はどのような方々なのでしょうか。

当社の場合、管理職になるのに年齢や年次は関係しておらず、仕事に対しての意欲、知識、向上心、信念です。おそらく他のホテルや結婚式場の支配人というと、40代、50代の方が多いのではないかと思います。しかし当社では入社5、6年目ぐらいで営業支配人となるスタッフもおります。部門によっても異なりますが、お客様に触れる機会が多い営業職は若いスタッフが多いので、そのような現場のマネージャークラスも、20代、30代がかなり多いです。一般的に見ると若いと感じるかもしれません。しかしお客様に今までになかった新しいものをご提案するには若いメンバーで議論をした方がアイディアが出やすいので、若いマネージャーのグループに任せているのです。

若くして抜擢される人材そうでない人材の違いは何なのでしょうか。

それは学ぶ姿勢です。たとえば朝早く出社して、本日中にやるべき事を整理し、優先順位をつけて、その日のスケジュールに落とし込む、その日に出来なかったことや足りないことを自己分析する。そして分からない事などは、自分自身で抱え込まず、先輩社員に聞きにいき、絶対に後回しにしない、といったことを1年目から続けている人もいます。そのような人と、何もやらないでただ毎日を過ごしている人では、大きな差がつきます。