経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.040 アポプラスステーション株式会社(成岡英律氏)

個々が意志を持ったスタッフ集団でありたい アポプラスステーション株式会社(成岡英律氏)

樋口:
権限を委譲した狙いは何なのでしょうか。


成岡:
狙いは2つあります。一つは権限と責任の認識、もう一つはモチベーションコントロールです。上にお伺いを立ててばかりいると結果的に自分では判断をしなくなってしまいます。しかし決裁権を持たせると自ら責任を取らざるを得なくなりますから、おのずと勉強もするでしょうし、リスクも検討するようになるでしょう。実は私が入社した当初は組織として整備中だったので、一時期権限を一部に集中させた時期がありました。しかし、ある程度仕組みができてきており、スタッフのレベル感も上がってきたことを受け、マネジメント力を強化するために徐々に落としてきたのです。

今のところその効果はいかがですか?

大枠ではできていると思います。今は更に「決裁権は落としても、上席者はその状況はきちんと把握しなくてはならない」ということを伝えています。そのためには部下とコミュニケーションをとり、情報マネジメントをおこなうことも必要ですから。

御社は様々なバックグラウンドを持った方々が集まっていると伺いました。その中で議論し合う文化はもともとあったのでしょうか。

人は自分の経験則で物事を進めたがるものです。当社も仕事に対して自信を持っている人材を採用していますから、その傾向がありました。そこで入社の初日に「自分が"普通"だと思うやり方は前職のやり方だ。当社に入れば当社のやり方がある。だからそれを納得はしなくてもいいが理解はしてほしい。ただし、それが正しいとは限らないので、状況を理解した上で改善のための提案をしてほしい。」と伝えています。それと同時に「企画立案権限は全員に付与されている。社外の人から見れば部署が違っても全員アポプラスステーションの社員なのだから、部門や役職に拘らず自分の働きやすい環境は自分の意見を言って作ってほしい」と社員全員に常に伝えています。

今お話しされた入社時のオリエンテーションでのお話は大切なことですね。やはり人は過去の経験にとらわれがちで、意識をしないと新しい物を受け入れられなくなってしまいますから。

特に当社のMRの場合、入社からある一定期間は本社にて研修をおこなうものの、それが終われば人事・総務部と直接顔を合わせるのは年に1、2回程度になってしまいます。ですから「現場のことを一番理解しているのは現場の人間なのだから、報告の仕方や経費の精算方法など、現場で困っていることや自分なりの改善方法があれば、直接意見が欲しい」と伝えるようにしています。

これからそのような文化を作る、というお話でしたが、マネジメントレベルではそのようなお話はできているのでしょうか。

やはり真面目で優しい人材が多いので、なかなか率直に言いあうことができないことがありました。たとえば人事側の「人材を採用しているのに現場で稼働していない」という意見がある一方でMR側が「こういう人材をもっと採用してほしい」という意見を持っていることもしばしばありました。更に、それを主張する時に「MR部門もがんばっているとは思うのですが・・・」「採用部門もがんばっているとは思うのですが・・・」という枕詞をつけてしまうため、本音をさらけ出して議論をすることができなかったのです。そこで少し前にマネージャー5名くらいで色々なことについてブレストをしよう、という取り組みを始めました。そうすると本音で組織について話し合うことができ、おのずと「CSOはこうあるべきだ」「当社はこういうところを強みにしていきたい」という話ができました。これからも継続していく予定です。社長の尾崎自身も「最終的に良くなれば、プロセスでけんかしてもいい」と言っていますから。

制度等を固め、今はマネジメントレベルから少しずつ実行し始めている段階なのですね。

そうですね。個々が意志を持ったスタッフ集団に向けて、着実に良くなっていると日々実感しています。今後は自分の部門のスタッフや他部門まで巻き込んでいけるようになることを目指しています。


そうですか。御社の今のステージや、成岡さんの取り組みが伺え、非常に中身の濃いお話でした。本日はありがとうございました。


CompanyData

アポプラスステーション株式会社

■会社名:アポプラスステーション株式会社
■代表者:代表取締役社長 尾崎 健久
■所在地:東京都千代田区富士見二丁目7番2号 ステージビルディング9F・10F
■URL:http://www.apoplus.co.jp/
■事業内容 :
 CSO事業、医療・医薬専門職業紹介事業、医療・医薬専門人材派遣事業、MR教育研修事業、薬局事業