経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.043 特定非営利活動法人クロスフィールズ(小沼大地氏)

「企業は社会の公器」という原点に企業を戻せるのが今の20~30代 特定非営利活動法人クロスフィールズ(小沼大地氏)

小沼:
多分、あれが私にとって初めての原体験でした。人と違う事を言って褒められることがあるんだとか、自分が正しいと思う事を言い続ける事ってすごく大事なんだ、ということをその先生に教えてもらったような気がします。拍手で終わったので、私にとってそれは失敗体験ではなく成功体験です。あそこで泣いていたら、もしかしたら一生人と違う事をやるのは嫌だと思って生きていたかもしれない(笑)。それをきっかけに自分が感じた事に素直に生きよう、と本能的に考えるようになったのだと思います。迷った時は自分の思った方を選択する、人と違うことも、もしかしたら面白い事なのかもしれない、と考えるようになりました。それ以外でも詩や文字を生徒に書かせるのがすごい好きな方で、私が「これを書いたら怒られるかな」と思ったものに限って褒められるのです。その先生に違いを伸ばす教育をしていただいたからこそ私自身の考え方は育ったのだと思います。
その後も、学校の先生からは多大な影響を受けてきました。中学の部活の先生は私に対してものすごく厳しい先生でしたし、高校の部活の先生にはすごく自由にいろいろな事をやらせてもらえました。このような方々との出会いを通じて、何て教育って素晴らしいんだろう、人を変えるんだろう、と思い教師になりたいな、と考えるようになりました。
ただし、ゆくゆくは教師になりたいと思っていたものの、教師になる前に社会経験を積みたいとも考えていたので、青年海外協力隊に参加しました。もちろん企業で社会経験を積むことも考えたのですが、協力隊が一番面白そうだな、と思ったので。それが大きな分岐点だったように思います。

樋口:
最後にちょっと先の事を伺いたいです。今29歳ですよね。毎日何年後ぐらい先を見て生きていらっしゃいますか。

20年後を見て生きています。20年後の未来を見ていないと、日々の大変さに耐えられないですね。

(笑)。日々の大変さとは、例えばどのようなことでしょうか。

ちょっとここで言えないぐらい大変です(笑)。経済的にもそうですし、自分を保障してくれるものは何もないですし、ふとものすごく不安に襲われることもあります。
でも、そういう時に20年後の日本を考えるのです。日本の課題を後ろ向きにしか考えられず、「もう日本って国、いいや。もっと関税が安いアジアへ行こう」と日本が捨てられてしまい、最終的に国内に残るのは高齢者と巨大な債務だけという状態になっているのか。それとも、「日本には課題がいっぱいあるけれど、これは世界でトップの課題だ。今の課題こそが資源で、これを超えることで、これから同じような課題に臨む中国やアジア諸国に対して良い見本を見せることができる。」と捉え、課題解決の先進国として課題に取り組もうとする前向きな人が多くなっているのか。後者のムードをつくるために私は日々いろいろな人と話をして、企業の価値観を変えていきたいと思っているのです。そこを見ていないと、ちょっと気が狂ってしまいますね(笑)。

今の時代は本当に変わり目ですよね。私たちは勝ち逃げ世代ですが、逃げられない世代がどうなっているのか、彼らを助けるにはどうしたらよいのかを同級生ともよく話しています。

すごく抽象的ですが、若者の青臭さや何かやりたいという気持ちを単純に応援していただきたいです。私自身、立場があっていろいろなリソースを持っている方から応援いただき、その結果今の自分ができていることは多いととても感謝しています。そういうことがもっともっと増えていったらいいな、と単純に思います。
今50代以上の方々は元気があって、リソースがたくさんあります。これまでにもお話したように、価値観のルーツは同じですから、ぜひ「最近の若者は駄目だ」と言うのではなく、本音で話をして何ができるかを一緒に考えていただきたいです。よく、社会貢献として地域での掃除などをされている方がいらっしゃいます。地域貢献もすごくいいとは思うのですが、それまでに社会人として培ってきた本業のスキルを全く使わない活動をされる方が多いのはもったいないことだと思います。もっとうまい結び付きがあれば、本業を活かして社会や次の世代に対する貢献ができます。いろいろなものを見て、自分のリソースを使ったら何ができるのか、と本当に真剣にもう一度考えていただければ、次の世代に対して大変価値のあることが生まれると思います。
特に今、一番このようなことができたら面白いな、と思っているのが奨学金制度です。ある会社のOBが、その会社の若手人材の成長に投資をするという制度です。この投資には、金銭的な投資もそうですし、アドバイスも含まれます。たとえば、会社の経済状況が厳しく「留職」の派遣人数が限られる場合でも、もしOBの方からサポートを得ることができれば、そのサポートを活用してより多くの人が「留職」できるかもしれません。また、0から1を創ってきた方々の知恵を活かすことで、その会社のOBが若手とつながっていく仕組みを生み出せたら面白いな、と思っています。


確かにその年代は経済的にゆとりがあるので、後輩とかそのような人たちを応援したいという気持ちはあるでしょうね。あり得る話ですよね。いつものインタビューとは違う趣向でしたが、あっという間に時間が経ってしまいました。若者の価値観の変化について深く知ることができました。ありがとうございました。

小沼大地氏ブログ
http://girgis.blog93.fc2.com/

小沼大地氏twitter
https://twitter.com/#!/daichi0715

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特定非営利活動法人クロスフィールズ

■会社名:特定非営利活動法人クロスフィールズ
■代表者:小沼 大地
■所在地:東京都品川区西五反田3-8-3 町原ビル4F
■URL:http://crossfields.jp
■事業内容 :
 ・新興国「留職」プログラムの運営
 ・講演会・研修・ワークショップの開催・企画・運営事業
 ・企業/非営利組織に対するコンサルティング事業