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自分なりの志を持つキャプテンこそがチームを内部から強くする  一般社団法人日本ラグビー選手会 会長(廣瀬 俊朗氏)

プロの世界で活躍した経験をビジネスマンとして活かせる社会をつくりたい

樋口:【ラグビー選手の引退後は】
いろんな人から肉付けしてもらったという感じなのですね。では、ラグビーの選手から現役を退いた方たちは、その後どういったご活躍をされている方が多いのでしょうか。

廣瀬: 人それぞれです。そのまま企業で社員として働いている人も多いですし、最近はいろいろな働き方が増えてきました。コーチになる人だったり、NPOを立ち上げてラグビーの普及活動をメインでやっていくようなことだったり、教員になることもあれば家業を継ぐこともあり、さまざまです。でも僕は、みんなもっと活躍できるポテンシャルがあると思っています。その姿を見た方が、「自分の子供にラグビーやらせたい!」と思ってもらえるような場を作っていきたいです。もっともっと、より社会にアピールできる活躍の場があるのではないかと思っています。トップの世界で活躍した経験をもう一度、ビジネスマンとして活かしてほしいです。トップリーグの中でも80%ぐらいは企業に勤める社員で、企業の中で育ってきているので、サッカーや野球に比べて移行しやすいと思います。ただ、ビジネスマンにステージチェンジする上での研修や制度がないのも事実です。ラグビーを辞めた後、社会人としても活躍できるために、必要最低限の基礎をトレーニングするなどできればラグビーの価値ももっと高まると思うので、そんな仕組みを選手会でつくっていきたいです。

スポーツに限らず、ビジネスとしての“キャプテン”の活躍にも興味

樋口:【廣瀬さんご自身のセカンドキャリアについて】
ラグビーの選手には、ビジネスの世界でも活躍していただきたいですね。良い選手たちが自信を持って社会に出ていけるように、何か橋渡しができれば嬉しいと思っています。廣瀬さんご自身の今後のキャリアについては、どんな大人になりたいですか。

廣瀬: スポーツには何かしら携わりたいです。ビジネスをやりながらちょっと週末に・・・でも良いですが、何かスポーツに片足は突っ込んでいたいなと思っています。教育にもすごく興味があります。ずっとキャプテンをやらせてもらっていましたので、キャプテンにフォーカスしていろいろやっていきたいなとも思っています。キャプテン次第でそのチームは強くなれる。キャプテンが強くなったらチームも強くなって、チームが強くなったら、みんながハッピーになれるし・・・というような流れを作れるのではと思っています。こんなことがいつかビジネスになれば面白いなあとも思っています。今、企業にキャプテンみたいな人がいるのかなあ?そういう人が「肩書き:キャプテン」で活躍して、経営がうまくいくようになったら、なんだかとんでもないことになるのでは・・・と、そんなことを思い描いています。

キャプテンたるもの、自分なりの志をもって

樋口:【次世代のキャプテンに向けてのメッセージ】
ある組織を任される人は非常に貴重で、出現率が低いんですよね。人を束ねられる人間はすごく負担が大きいですし、外ヅラとか給料とか、トータルでみても損な世界ですよね。でもそこで「自分を鍛えたい」というモチベーションがないと務まらないので、それをキャプテンをイコールで考えると、非常に面白い取り組みかもしれないですね。最後にひとつ。日本代表のキャプテンを次に渡して、クラブチームでも次に渡してというところで、ラグビーに限らずビジネスマンに対してもそうですが、これからキャプテンになる方へのアドバイスをされるとしたら、どんなことがありますか。

廣瀬: 一番は「自分なり」ということです。自分なりのリーダーシップ、自分なりの「何か」が絶対あるはずなので。いっぱい勉強もするべきでしょうが、最後は自分が引っ張っていくというか。誰かのまねをしても絶対にうまくいかないです。良いものは取り入れても、「自分は自分」という志をちゃんともっておかないといけないと思います。

【おわりに】
樋口:今ご自身のキャリアを考えているとおっしゃっていましたが、廣瀬さんは今までこうやって人生を選ばれてきましたし、個がしっかりあるので、人の評価や世間体によって何かを決めていくことは無さそうだな、と思いました。そこがきっとご自身の一番いいところであり、これまで選ばれてきた理由でもあるのだろうな、とも思います。芯をお持ちで、常に上を目指している気がするので、たぶん答えはなかなか見つからないかもしれないですね。キャプテンの勉強はもちろん、そのあとにリーダーがあるのか、それとはまた違うのかはわかりませんが、面白い人生になるような気がします。本日は、ありがとうございました。楽しかったです。
(取材:2016年8月24日)

 

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一般社団法人日本ラグビーフットボール選手会

■代表者: 会長(代表理事)廣瀬 俊朗氏
■URL:http://www.japan-rugby-players.com/
■事業内容 :
-日本ラグビー界を取り巻く環境の現状と課題についての情報共有及び建設的な議論
-選手独自のラグビークリニック等を実施することによる ラグビー普及
-より良い環境を実現するべく協調して活動していくための、社会貢献活動としての被災地・病院訪問、障がい者スポーツとの連携、チャリティーオークション等の実施等
-リーダーシップ教育、セカンドキャリア教育等次世代育成