リーダーは、人間性が圧倒的に大事

【プロモーションについて】

樋口：それでは、組織の構造上のことについても少しお伺いします。プロモーションを任せている人物はどのような方ですか。あるいは、先ほどの評価制度のお話のように、利権が発生しないような仕組みをお考えですか。

新居： 会社はホラクラシー型というフラットな組織形態ですが、唯一プロジェクトリーダーという会社に影響のある意思決定や決裁権を持つ者を置いています。議会制民主主義のような仕組みですね。この任命権のみCEO権限としており、私が決めています。とはいえ、スポーツでいうキャプテンのようなもので、リーダーだから給与が高いということは一切ありません。ポジションというよりは役割ですね。

樋口：言語化しづらいかもしれませんが、キャプテンマークはどのような基準で決めているのですか。

新居：そうですね。まずは、人間性が圧倒的に大事だと思っています。規律を持って、利己のためではなく、誠実に正しいと思えることを実行できる人間性が一番大事です。プラスアルファでパフォーマンスを出させる能力、マネジメントのノウハウを持っていること。これは、一人のプレイヤーとしての能力ではなく、組織を良い方向に動かすための働きができる人という意味です。人間性とプラスアルファのマネジメント能力、この二軸で見ています。

世の中が驚くことを仲間と共に仕掛けたい

【経営者としてこれからやりたいことについて】

樋口： 面白いといったら失礼かもしれませんが、良い会社ですね。一般的には、会社の存在が大きいあまりに、会社にお世話になる、だからその間は従うということが未だに常識として残っている気がしますが、社員を起点とした幸せのサイクルを始め、新居さんは違うお考えを持っていますね。

新居： 皆が良いというから良いわけではない、自分で考えて腹落ちしないと動けないタイプだからかもしれません。一般常識やお金に囚われず、面白いことや世の中が驚くようなことを、仲間と共に仕掛けたい、という感じです。

樋口：いまは、目標や夢に向かう、そのプロセスが楽しいのですね。分かりやすいビジョンを追いかけるというよりも、そのプロセスを楽しめる方は一緒に仕事をしていて頼りになる気がします。

新居： 冒険だと思っています。冒険はきっと目指している目的地があると思うのですが、そこに行きたいだけだったら極端な話ヘリコプターで行ってしまえばいい。そうではなくて、仲間と共にキャンプをして、道中で色々なドタバタ劇がある、その道のりが冒険の楽しさだと思います。例えば、アーティストが作詞作曲してそれを歌うことと、我々がプロダクトをつくって世に売りだすことはそれほど変わらない、それくらい面白いことです。できることなら多くの人が良い曲だねと言ってくれる、ファンになって毎日聴いてくれる方が嬉しいに決まっていますから、我々も、多くの人に価値を感じてもらえるプロダクトを、日本だけでなく世界中の人たちに使ってもらえる、これが実現できたら最高ですね。我々が掲げている、世界中の人々を魅了する Attract people in the worldというメッセージもまさにそのような感覚です。

自分よりもパッションが強くなった人に会社を任せたい

【将来会社を任せたい人物について】

樋口：最後に、いずれ会社を任せるときが来たとき、どのような人物に任せたいとお考えですか。

新居： 世界中の人々を魅了する会社を創るというビジョンに対して、私よりもパッションが強くなった人がいればその人に任せます。私よりもアイディアが出る、エネルギッシュに会社のことを語れる人物がでてくるのであれば、そのときにバトンを渡しますね。もちろん、社員から期待されるCEOとしての役割を維持するために努力して自分を高め続けることは必要だと思っていますが、代表の立場にしがみつきたいという気持ちはないです。良い人がいれば、よろしくお願いします、という感じです。

【おわりに】

樋口：ありがとうございました。この若さで強い意志と達観したお考えをお持ちの経営者の方とお話しする、大変貴重な機会をいただきとても楽しかったです。このわくわくや夢へ向かう力強いエネルギーがあれば、貴社の掲げているAttract people in the worldを実現できる日が必ず来るだろうという気がします。当社も微力ながらお手伝いさせていただければと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

(取材：2018年10月9日)