経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.012 株式会社サンセイランディック(松﨑隆司 氏)

株式会社サンセイランディック(松﨑隆司 氏)

樋口:
日本企業の場合は特にそうですよね。話は変わりますが、特に若い人たちの教育育成ということについて、何か工夫していること、力を入れていることはありますか?

松﨑:
当社の仕事は、人との交渉がメインの仕事となります。そのため、交渉の場での間合いや話の内容など、机上の勉強や研修ではなかなか身につかない目に見えないスキルが重要になります。その部分は上司や先輩社員の営業に同行し、現場を肌で体験しながら、スキルを身につけています。また、若いうちから仕事を任せ、実践の中で自己の経験として自分のものにしていく機会を与えています。
基本的には、課長職が新人の育成責任者で、課員である先輩社員がメンターとなります。年次が近い社員がいくら仕事を教えても、どんぐりの背比べでしかないので、役職者が必ず指導をします。新入社員に対しては、育ててもらった恩義を忘れずに、それを次世代に継承してほしいと思っています。誰かにやってもらったことは、誰かに返していく。その連鎖がずっと続いていくのがベストであり、その風土を大切にしたいと考えています。
もちろん不動産の知識や法律の知識など常に勉強をしなければならないことは、随時専門の部署が研修会をひらき知識の向上に努めています。不動産業に従事する者にとっての必須資格である宅地建物取引主任者に関しては全社員必須の資格ですが、その他にファイナンシャルプランナーやコンサルティング技能士、相続アドバイザーなどの資格取得も推奨しています。

そうなのですね。今年、あるいは去年ぐらいの新卒入社者から、意欲があまり高くない、自発的に動けない、空気が読めないなど、社会性と言われる部分が少し劣化してきていると言われていますよね。今のお話のように現場に放りこんで育てるというやり方で、松﨑社長や現場のマネージャーの方々は、何かご苦労はないのでしょうか。

苦労というか、一番の課題はマネージャー層の成長です。今まで、マネージャーには売上を求めていましたが、組織化に伴い部下育成も重要視するようになりました。当社の新卒入社者に関して言えば、社会性は身についている人材がほとんどなので、マネージャー層に彼らを育成する力がついていけばよりよい会社になるはずだと感じています。

マネージャー層のスキルアップは私もよく相談を受けます。今の若手社員とのギャップは避けられないので、それをいかに受け入れて相手の目線に立った育成をするかが大切だと話しています。

そうですね。前の質問でもお答えした通り、当社の社員(営業職)に必要なスキルは、決して目に見えるものではありません。大部分は経験で育まれるものなので、そのノウハウやスキルの継承が容易ではなく、マニュアルをつくれば誰でもできるというものでもないのです。現在は、スキルの継承や育成方法が属人的になっており、体系的な研修・教育が十分にあると言えないのが現状です。ただし、当社では良くも悪くも個性は重要ですから、こうした現状を極力残していきたいとも考えています。属人的な育成方法は、営業マンひとりひとりの個性につながるので、いい面もあると思いますしね。

色々とお話を伺っていて、御社の社員の方々は「良い人」が多いのかなと感じたのですがいかがでしょう。

おっしゃるとおりです。良くも悪くも「良い人間」が多いです。
これがお客様からの信頼につながっているのだとは思いますが、不動産業界においては、もっとずるさのようなものがあってもいいかなと個人的には思っています(笑)一方で、これが当社らしさなのではないかなとも思いますね。
当社は社員同士が良い意味でフラットな関係で、体育会系のような「恐怖の上下関係」ではなく、「心地のよい上下関係」があります。
企業風土は、つくろうと思ってつくれるわけではなく、そこに人の集まりがあって、はじめて出来上がる奇跡的なものだと思います。今後、企業規模が大きくなったとしても、この風土を大切にしていきたいですね。

企業規模も似ていますし、とても同感できる部分が多く、お話を伺えて大変楽しかったです。本日は貴重なお話をありがとうございました。

CompanyData

株式会社サンセイランディック

■会社名株式会社サンセイランディック
■代表者:代表取締役 松﨑 隆司
■設 立:昭和51年2月
■所在地:東京都千代田区神田司町2-1 オーク神田ビル 7F
■URL:http://www.sansei-l.co.jp
■事業内容:
1.貸宅地の仕入れ及び企画販売
2.貸宅地の管理