経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.033 株式会社ノバレーゼ(渡瀬舞子氏)

心から相手に向き合うことは現場も人事も同じ 株式会社ノバレーゼ(渡瀬舞子氏)

樋口:
少し質問の観点が変わってしまうのですが、入社10年後に活躍できる人材は、採用によるものと教育によるもの、それぞれ何割で決まると思いますか。教育といっても幅広いですが、私は今のところ8割採用だと思っています。当然、教育は放棄するわけではありませんが、残りの2割の育成も最初に配属する上司や先輩のうち誰につけるかが極めて大きな影響を及ぼすと感じています。ですから、配属だけは全部私の専権事項でやっています。


ゲストハウス 式場

渡瀬:
私も採用が大事だと思います。教育もとても大切ですが、どれだけいい教育プログラムが揃っていても、人が揃っていなければ、絶対によい人材は育たないと思いますので。ですから10割とまでは言い切れませんが、8割くらいは採用による影響が大きいのではないでしょうか。もちろん教育もすごく力を入れていますけれども。

採用教育というのは投資活動です。この投資を回収するには2、3年では無理ですから、10年単位で考えていかなければなりません。そう考えると、どちらにどのぐらい投資をすべきなのかの判断は大事ですよね。

そうですね。当社では設立してから5年間くらいは、教育も採用も同じ部門が担当しており、「とにかく優秀な人材を採用して、あとは自分達で育ってくれ」というスタンスが強くありました。しかし、4、5年前に教育と採用の部門をあえて分けました。会社の規模が大きくなり、人が増えた段階で、採用だけではこれ以上は支えられず、階層的にも職種的にもきちんとした教育プログラムが必要だろう、という判断をしたからです。

実は採用と教育を分けるのは、日本組織独特のもので、欧米では採用から人材開発を一貫して担当者が受け持つことが多いようです。採用と教育を分けてしまうと、採用屋さんや、教育屋さんになってしまい10年で投資を回収しようという視点からどんどん離れていってしまう危険性があるからです。実際にはどのような方法が正解かは、まだわかりませんが。

私も人の配属や配置というのも、その1人1人の成長イメージを見越した上で、決めていくことが必要だと思います。別々になってしまうと情報共有に限界がありますので、1つの部署の中で出来ると、より強い教育プログラムや採用教育プログラムができるのではないかなと思っています。

それでは採用の話に戻りますが、御社の採用ではバランスを重視していますか?これは独立創業してから気付いたのですが、日本の人気企業ではバランスがよい方が採用される傾向があります。企業ブランドで有名大学の学生が集まってくるので、面接官の訓練も必要ありませんし、評価基準が曖昧で、面接官が育てたいと思うかどうかの感性だけで採用をしてもある程度バランスの良い人材が採用でき、大きな問題は出ないという羨ましい採用なのです。逆に御社はバランスというよりも、こだわりを持って採用されているのではないかな、と感じています。

当社では新卒採用目標を50名としています。50名だからこそ、バランスがとれた人材も大切ですが、それこそ、とがった人材も絶対に採用していかないと、会社が面白くなくなってしまうのではないかなと考えています。

面白い…なるほど。

会社に変化がなくなってしまいますから。当社の新卒1、2、3期生達は、会社が成長する前でしたから、バランスのよい人材よりも、とがった人材の方が多かったです。しかしその人達が会社の成長とともに個人も成長してきたことによって、会社が面白く伸びてきていると感じています。
逆に、今はバランスのとれた人材のほうが採用しやすいかもしれませんが、そういう人材ばかりを採用していくと、つまらない会社になってしまうような気がします。ですから50名のうち6割くらいはおそらくバランスのとれた人材で、残りの4割は、エッジのきいた面白い人材を採用していきたいなと強く思いますね。それこそ、そういう人材は、1年目の配属には気をつけないといけないですけどね。(笑)

そうですね。それでは最後の質問ですが、経営者の方からは常日頃、どういうことを教わっていらっしゃるのでしょうか。

私が採用の責任者に任命されて1、2年間は、全てにおいて一緒に考えていました。夏に内定者の顔合わせの研修を実施しているのですが、研修プログラムから説明で使う映像資料など、何から何まで一緒になって考えていました。今は、ある程度まかせてもらえるようになり、直接的な指導からは少し手が離れたのかなと思っています。
ただ、何気ない日々の会話の中で教わることはとても多いです。先日社長の浅田(代表取締役社長 浅田剛治 氏)と地方のメンバーとで食事をする機会があったのですが、浅田から「当社はみんな真っ直ぐで純粋で、何かあれば会社ごと騙されてしまうかもしれないね。でもそれはとてもうれしいことだね。」という話がありました。何気ないことですが、そういう時間が私にとっては、とても勉強になります。もちろん、予算の中で質のよい採用を行わなくてはなりませんし、成果や効率といったところもしっかりと見ていかなければなりません。しかし結局は本当に魅力的で純粋な人を採用していくことが大切なのだ、という風に思えました。またこれからもそういう仕事の仕方を続けていこうという風に思えますね。

一種の賞賛ですね。食事など日常的な何気ない場ですることに大きな意味があるのでしょうね。山ほど伺いたいことがあるのですが、今日はお時間の関係で、これぐらいで終了とさせていただきます。貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

CompanyData

株式会社ノバレーゼ

■会社名:株式会社ノバレーゼ
■代表者:代表取締役社長 浅田 剛治
■設立:2000年11月1日
■所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座1-8-14 銀座YOMIKOビル4F
■URL:http://www.novarese.co.jp
■事業内容 :
 婚礼プロデュース事業、婚礼衣裳事業、ホテル・レストラン事業