経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.044 株式会社リヴァンプ(澤田 貴司氏)

仕事を楽しむリーダーでなければ組織は活性化しない 株式会社リヴァンプ(澤田 貴司氏)

ファーストリテイリングの副社長を務めた経験をもつ澤田貴司氏、ファーストリテイリングの社長を務めていた玉塚元一氏と設立した株式会社リヴァンプ。経営改革実行のプロフェッショナルが集まる同社の人材へのこだわりについて代表取締役社長 兼 CEO澤田 貴司氏にお話を伺いました。

樋口:
早速ですが、社長として採用にどのようなこだわりを持っているのかを教えてください。かなり多様な人材を採用なさっているのかな、と想像していたのですが。

澤田:
あまりこだわりは持っていないですね。というより、皆に任せてあります。当社の社員はとても素晴らしいメンバーです。その彼らとざっくばらんな話をして、お互いが納得した上で入社していただくのが一番正しいと思っているんです。

澤田さんは直接会わないのですか。

最後は会いますよ。しかし、それまでに何人ものメンバーに会ってもらっているので、基本的にはあまり口は出しません。ぶっちゃけて言いますと、本当の実力は仕事をしてみなければ分からないですからね。
ただ、本当にうちに来たいのか、というところだけは確認しますね。新しく入るメンバーには後悔させたくはありませんので、「納得してきてくれ」という話はします。不安に思ったり入社後に後悔するくらいならば、より多くの人と会う場も設けます。

迷っている方に対して、澤田さんが口説くことはないのですか。

お互いに理解し合うことは大切ですが、口説いてまで来てほしいとは思っていませんね。来たい人に来てほしい。嫌な思いはしてほしくないのです。そうなると、今いるメンバーにも失礼ですから。ですから私は無理に追うことはしません。

例えば、沢山の案件を抱え人手が不足していたり、売り上げが好調で事業の拡大を検討していたりする中で、新たな応募者があったとしても、お互いが納得していないと思えば採用されないのですね。

私はずっとやりたい事をやってきた人間ですので、やりたい事をやらないとストレスになってしまうんです。ですから相手に対してストレスを感じさせるのも嫌なのです。特にリーダーがストレスを感じていると、その組織は腐ってしまいます。可能であれば、少しの曇りもなく楽しく仕事をやってくれるリーダーであってほしい。そうでなければ組織は活性化していかないと考えていますので、そこにはすごくこだわります。

楽しんでいるかどうかが大切だ、ということですね。

それが一番大事だと思いますね。もちろん、結果を残すのが前提条件ですよ。当然入社後は目標設定をしながら結果を問うて評価にもつなげています。
ただし、入社の段階では当社のメンバー複数名が面接をして、とことん話をして、それで「採用したい」と言えば、能力面はクリアしていると判断しています。当社のメンバーは優秀ですし、信頼していますから。ですから、最終的に本当に働きたいかどうかだけ確認できれば入社していただいています。

そうですか。アメリカのグーグルやフェイスブックも能力はもちろんのこと、価値観のマッチングを重視しているそうです。彼らは価値観がマッチする人材としない人材とではパフォーマンスが5割違うと言っていました。澤田さんはどのようにお考えですか。

私は5割以上だと思います。本当に働きたい人と嫌々やっている人というのはあり得ないぐらい違いますね。それが組織の上に立つ人になると、もっと違います。組織の力なんて99.9パーセントそれを束ねるボスの力ですから。その彼らが活性化していなかったら組織は悲惨な状態になりますよね。
特に当社は色々なお客様からご依頼いただいて経営改革をやるとか、自分たちで会社を作って経営をするとか「経営に関わる仕事」に強いこだわりを持っています。当社のメンバーもそれを魅力に感じて当社に来ているのだと思います。そのような仕事はとても責任が重いですから、お金ではない部分でそれをやりたいと思えるかどうかがとても重要なのです。

そのようなお仕事ですと、リーダーの影響が社内だけではなく、お客様にも出てしまいますね。

かなり出てしまいます。それはもう罪ですよ。そういうリーダーはすぐに交代してもらいます。

そうですか。しかし、リーダーとして活躍できる人と出来ない人は、何が違うのでしょうかね。リーダーを任せられるということは、これまでの実績があったわけですよね。

本当に自己満足をしたいかどうかなのでしょうね。本当の意味で自分のために働いている人って周りを幸せにしていると思うのです。中途半端な自己満足ですと、自分の幸せしか見えていないように思います。リーダーになると自分が幸せになりたければ、周りの人を幸せにしなければいけないじゃないですか。しかしそこで、自分の幸せを優先し、まわりの幸せに気を配れないリーダーには、組織の活性化はできないと思います。そういう人はリーダーとしては失格ですね。ですからリーダーが自分のためだけに働いていることが見え隠れすると、私は気になります。特に当社みたいに何千人も抱える流通業ですとか、そういう現場でお客さまに日々接する人たちを束ねるような仕事の場合は特に、周りの幸せに気を配ることが求められると思います。