経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.051 株式会社アスリートクラブ熊本(池谷友良氏)

経営と現場社員の目指すベクトルが合っているかが会社の強さ 株式会社アスリートクラブ熊本(池谷友良氏)

「熊本にJリーグチームを」という想いを実現するために、企業や自治体等の全県的な支援を受けて2005年に設立され、その後わずか3年でJリーグ加盟を成し遂げたロアッソ熊本。監督、GM、社長を歴任する池谷 友良氏に、ロアッソ熊本立ち上げの経緯や、チームを支えるスタッフの育成についてお話を伺いました。

勝つための投資と、収益確保のバランス維持が経営の難しさ

樋口:
もともとはプロの指導者で、3月に社長になられたと伺いました。数か月社長を経験なさって、どのようなところが大変だとお感じになっていますか。

池谷:
人を束ねることについては、あまり苦に思ったことはありません。繊細な問題ではあるのですが、これまでに関わってきた選手にも、やんちゃだったり同じ方向を向かなかったりする選手もいましたので。大変なのは経営数字とのにらめっこです。実は、大きな赤字が出ており、2年で債務超過を解消しなければJリーグクラブライセンスが取れないのです。一方で勝つためにはお金がいる。勝たないと応援しないという人は多いのです。そこでいかに投資をするかというバランスに常に難しさを感じています。

プロのスポーツについて不勉強で申し訳ないのですが、チームが強くなることと収益が上がることは連動するものなのですか。

基本的には連動していると思います。しかし、現実として結果につながらない場合もありますね。そもそも実力があり、資金もあるチームでも、一回サイクルが狂うと最終戦までもつれこんだり、J1からJ2に降格してしまうケースも一度となくあります。長い目で見たらチームの強さと投資した資金は当然比例するのですが、単年度ではそうとも言えないかもしれませんね。

それでは、スタッフの方々の大きな役割は、収益を上げ、強いチームを作ることなのですね。具体的にはどのようなお仕事があるのでしょうか。

事業部、営業部、総務部とチーム統括部という4つの部署に分かれています。「チーム統括部」は、トップチームの管理が大きな仕事です。選手やスタッフの契約に始まり、予算を編成したり、選手をスカウトしたりします。また、育成組織として中高生向けのアカデミーがあるので、その運営やマネジメントも行っています。「事業部」では、広報、試合運営、チケット・グッズの販売、ホームタウン活動を行います。「営業部」は、スポンサーへの営業が主な業務内容です。 ただ、実際はチケットやグッズの販売はすべての部署で営業を行っていますね。

スタッフ部門は試合ごとに収益を上げていく運用をなさっているのですね。

そうですね。もちろん、一番の商品は選手ですから、試合の中で彼らを上手に投入して収益を上げていくことも大切になります。

計画以上の収益を上げるために、各スタッフ部門のリーダーの方々と議論されることはあるのでしょうか。

毎週、週初めには朝から幹部会議を行っています。各部署の報告にはじまり、次の戦略を考えるといった内容です。