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シンプルで直感的なサービスを通じ、変化し続ける人事・経営を支えたい 株式会社カオナビ 代表取締役(柳橋 仁機氏)

適性を活かす新しい人事を、「直感」的なサービスでサポートする

樋口:
ところで、社長は前職にて人事部長をご経験されていますが、そのご経験から今重視されていることはございますか。

柳橋:
人を型にはめないことです。
私が新卒で入社した会社は上の指示が絶対だったので、私自身は強いトップダウンに慣れているのですが、それは無理のある考え方なんだということを前職では感じていました。当人が望まぬこと、不得手なことを指示するのではなく、適性を考えた人事を行うよう心がけています。

適性を考えた人事の実現は、中小企業あるいは成長を志向する経営者にとって大きな課題ですよね。その点、貴社のサービスは直感的に適性を把握・確認できる有意義なツールですね。

ありがとうございます。
顔をパッと並べて人材を把握するのはまさに直感の働きです。直感の働きと「顔」には何らかの関連を説明できるのではないかと思っていましたが、先日の中野先生(注2)との対談を通してとてもクリアになりました。脳の認識構造などの点から論理的に説明できるそうです。会社を立ち上げて2~3年しか経ちませんが、理屈が重要なサービスを売ることは今後もなく、「直感」的なサービスで勝負していく気がします。

一方で、理屈は理屈で必要だと感じています。「カオナビ」のサポートにおいても、評価基準等、人事制度に関するご質問はよくいただきます。今後は、パートナー戦略も含め、こうしたご要望にもお答えしたいです。



日本のカルチャーでも使ってもらいやすいサービスを。

樋口:
変化の激しい時代に突入する中、各企業の経営者や人事責任者は人材の適性配置や活用について頭を悩ませていますよね。

柳橋:
右肩上がりだった頃は労働力も豊富で、適性を考えて配置せずとも会社は成長できましたが、その前提が崩れた今、経営者は新たな人事のやり方を模索していると思います。
現在日本はGDP世界第3位ですが、一人当たりで換算するとOECD加盟34か国中20位(注3)。ヨーロッパ諸国に比べ低いのです。これは、日本はまだまだ頭数で勝負している国だということを意味します。しかし今後人口が減り、産業が製造業からサービス業へのシフトが進み、一人ひとりの働きが一層重要になると通用しなくなってしまいます。だからこそ、生産性・適性を考慮した人事が今トレンドですし、今後も継続すると予想しています。

それこそ、顔を並べての直感的な採用・登用は、他国では既に行われているかもしれませんね。先日の米国企業視察ツアー(※4)でも、優秀な人材へのリテンションはやはり最重要課題の一つとして認識されていました。

欧米はリンクトインやフェイスブックが浸透しているイメージがありますね。一方、日本ではそれほどでもない。これは、私の中では大きなキーファクターです。
日本では、プライバシーや情報漏洩の問題があり、SNSを会社で使う発想がなく、まずは社内人事システムを構えようとします。そのため、私たちは人事データベースという枠組みの中でカオナビを販売しています。一方で、使いやすさやUI、アプリケーションの構造などは、フェイスブックやリンクトインを大いに参考にして開発しています。

ツアーではリンクトインにも訪問したのですが、参加された社長の中にはネガティブな印象をお持ちの方もいらっしゃいました。確かに、オープンなシステムが受け入れられづらいのは日本のカルチャーですよね。

本日は、お話しいただきありがとうございました。
サービスの根底にある考え方など、奥深く有意義なお話を伺うことができ、非常に楽しかったです。

ありがとうございました。




※注2:中野信子氏、日本の脳科学者(医学博士)。東日本国際大学特任教授、横浜市立大学客員准教授。東洋経済オンライン上で柳橋氏と対談
※注3:2015年4月 IMF「World Economic Outlook Databases」参照
※注4:弊社が主催するツアー。2015年は実施4回目にあたり、10日間かけてニューヨークとサンフランシスコの大手、スタートアップ企業を視察。

 

 

 

CompanyData

■会社名:株式会社カオナビ(英文 kaonavi, inc.)
■代表者:代表取締役 柳橋 仁機 氏
■所在地:〒107-0062 東京都港区南青山2-27-8 南青山第2シティビル3F
■URL:http://www.kaonavi.jp/company/
■事業内容:
 クラウド人材管理ツール『カオナビ』の製造・販売・サポート
■経営理念:
 シンプルな仕組みで、ハッピーな日本を作る。