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経営の原動力は、社員全員で再構築した企業理念  株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役社長(柴田 紳氏)

チームで修羅場を乗り越えた結果、採用力と新卒社員の成長スピードが上がった

樋口:【理念の再構築を行った効果は】
価値観を共感できる仲間だけの組織になることで、会社にはどのような良い効果がありましたか。

柴田: 例えば採用が変わりましたね。それまでは私が代表として一生懸命喋って人を惹きつけていましたが、その出番は年々減ってきています。複数の若手層と面談していただくと、「誰も会社の仮面をかぶっていないし、多様性に富んでいるのに、みんな言っている理念が一致していてすごいですね」と言われることが増えました。会社全体で採用できるようになってきたという感覚です。また、それにともなって価値観の合った人が入ってくるので、成長も早くなりました。これまでは新卒が戦力になるまで2~3年かかっていたところ、今は半年で戦力になり、3~4年目になると相当高い次元で物事を考えるようになってきましたね。「柴田さんはこういうときはこう考えるはずだからこれで進めてOKだ」という感じです。社員の多様性を許容しながら価値観を統一することで、社員一人ひとりが安心感と自信をもって自走できている感覚があります。



職務設計で解決した、迷いのない勝ちパターン

樋口:【価値観の統一に迷いはないか】
多様性を認めながら価値観を統一するのは理想だと思いますが、私自身経営をする中で、それに拘りすぎると組織を大きくできない、と感じることがあります。柴田さんはその点について、迷われませんか。

柴田:もう迷いませんね。勝ちパターンが見えてきたと思っています。人は成長して枠が広がってくるとダイナミックなことがしたくなり、これを抑制すると仕事がつまらなくなり離職してしまいます。一方で、やりたいことを認めると、会社としてすべきこと、当社であれば収益が最も確保できるオペレーション業務から離れてしまい、会社がバラバラになってしまうという状況を招きかねません。以前はその狭間で苦しい思いをしたこともありました。しかし今は、正社員を企画とマネジメントに特化させ、それ以外の業務はどんどん外部化を進めていることで問題を解消しています。オペレーションが得意な人やうまくやれる会社にどんどんお願いしているのです。外部パートナーにも社内に来ていただき、今は正社員が80数名に対し、120名以上のパートナーが社内にいる状態です。基幹事業である「決済をまわす」部分の機能はほとんど外部パートナーにて運用頂いていて、それをマネジメントしているところに正社員がいます。そうすると時間的にも余裕ができるので、正社員は空いた時間でやりたいことを進めていけるのです。

外部パートナーとは良好な関係。正社員の成長が事業成果につながるのはまだ先

樋口:【職務設計が運用されるまでの経緯は】
結果うまく言っているとのことでしたが、設計してからうまく運用が回り始めるまでどれくらいかかりましたか。

柴田:構想からは5~10年かかりましたね。特に、外部パートナーへの引継には多少時間がかかりました。副次効果として良かったのが、多くの外部パートナー企業が「安心して任せられて、育成に最適だから」という理由で、新卒社員を当社へ送り込んでくれるようになったことです。派遣社員や外部パートナーも区別なく当社のイベントに参加していただいており、まさにパートナーとして良い関係が築けていると思っています。また、今の売り上げはNP後払いという10年前にほぼ完成したシステムによるものが大半で、正社員の成長が次の事業成果に繋がるまでには至っていませんが、今まさに正社員が自走して楽しそうに次の事業をふくらませつつあって、遠くない将来、成果がでると期待しています。