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株式会社ヒューマンシステム(湯野川恵美 氏)

樋口:
なぜ辞退者が多く出てしまったのでしょうか?

湯野川:
辞退した人材の傾向を分析していくと、ある特徴的な結果が出ました。その結果から、本来であればヒューマンシステムが求めている人材であったのに、自己PRや自己分析に向いていないために縁がないと判断されてしまったのだろうと反省しました。もっと早くこの傾向を察知して、SWOT分析ではない違う聞き方にしてあげればよかったと思いました。

なぜSWOT分析をされたのですか。

志望度の高い人材を採用したいと考えたからです。昨年は母集団が非常に少ない中で多くの人数を採用したので、これまでにないような問題が発生したのです。そこで教育担当者から「採用の段階で志望度を確認してほしい」と言われたのです。先ほどもお話しした通り、当社では人材育成を手厚く行っておりますので、志望度の低い人材でもどのようにしたらやる気になるか、今の仕事ができないのならどのくらいまでレベルを下げればできるようになるかとそれぞれ指導者が考えて対応します。しかし、さすがに2年連続であまりにも手厚い対応が必要なのは指導する側も辛いという意見が多く出たのです。そこで、今年は志望度が高く、実務ができるベースを持った人材を多く採ろうと考えていたのですが、求める人材とSWOT分析がアンマッチだったのでしょう。
その代わりに集まった人材はSWOT分析に強い人材が多いので、当初の予定とは異なりますが未来のコンサルタントになる人材に育てようとカリキュラムを変更することにしました。その年の傾向に合わせてカリキュラムを変更するということは小さい会社だからできるものなのですけどね。

湯野川社長は離職率にこだわりはお持ちですか。

離職率自体は見ていますが、確率よりも辞めた理由を重視しています。当社の場合10年、20年働いていくためには、かなりまじめにやっていくか、「自分がこうありたい」と思う姿と実際の自分の差が少なくないと、うまくいかなくなってしまいます。ただし、離職率にこだわらないといっても、やはりある程度の離職率を超えるということは、自分やマネージャーのやり方がどこか間違っているのではないかという指標になりますので、そういった意味ではチェックしています。ただし、社員が辞めたいと言ってきた場合、その人のことを考えて引き留めずにその人の意思を受け入れる場合もあります。社員に対しては、それまで一生懸命に教育してきているという自負がありますので、他の会社に行っても通用する技術を持っていると思っています。そのため、転職など環境の変化をきっかけにその人が伸びるかもしれないという可能性の芽を摘むことは逆に良くないと思うのです。転職した人であっても、転職後に一緒に食事をしたり、連絡をとったりすることはよくあります。中には、「この会社(今いる会社)に入って初めて自分は湯野川さんがどれだけはらはらしながら自分を見守っていてくれたのか、大切にされていたか分かった」というような内容の長いメールをいただいたこともあります。そのような人は外部サポーターのような存在になってしまっています。

きっと人材の質のレベルが高いのでしょうね。

そうなのかもしれませんが・・・。中には退職後に起業した方もいるのですが、「自分の会社で受注した仕事でもヒューマンシステムに依頼した方が安心できる」と言った人がいました。「社長としてそれでよいのか?」とは思いますが(笑)。実際に「うちでは到底できませんからやってください」と仕事を回してくることもあります。転職していく方々もこのように、退職後もサポートしてくれるありがたい存在です。頻繁に集まることはできませんが、半年に1回ぐらいのペースで、OB・OGで集まって食事をしています。ヒューマンシステムを退職しても、子供ができたとか資格を取ったとか・・・辞めた人も含めてみんなが幸せだといいなと思っています。

湯野川社長の人柄が組織に反映されているのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

 

CompanyData

株式会社ヒューマンシステム

■会社名:株式会社ヒューマンシステム
■代表者:代表取締役 湯野川 恵美
■設 立:平成4年9月
■所在地:東京都港区芝4-5-10 カーニー・プレイス芝
■URL:http://www.humansystem.com/
■事業内容:
1.SI事業(システム提案/ネットワークソリューション/ナレッジマネジメント)
2.ITサービス事業(運用・保守/コンサルテーション)
3.受託開発事業(システム開発/システム開発後の導入教育/教育)