経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.013 三菱商事株式会社(藤田潔 氏)

三菱商事株式会社(藤田潔 氏)

日本を代表する総合商社であり、単体で6000名を超える社員を抱える三菱商事の人事部長を務める藤田潔氏。子会社社長の経験もある同氏に三菱商事における採用・育成や、子会社社長時代の三菱商事との違い、経営者としての人事に対する取り組みについて話を伺いました。

樋口:
まず、御社の採用・教育について教えてください。御社は日本を代表する一流企業でいらっしゃるので、志望する学生も優秀な人材が多いと思うのですが、その優秀層の中で何を評価のポイントとして採用されているのですか。

藤田
いくつかチェック項目は設けていますが、一番分かりやすいのは達成志向の高い人材です。つまり、自分で少し高めの目標を設定し、それに向かって遮二無二頑張るタイプです。あとは、頭のよさ、リーダーシップがあるとなお良いですが、最も重視しているのは、物事をやり抜く力があるかどうかです。どこの企業でもそうだと思いますが、難易度の高い仕事にハングリー精神を持って臨むタイプというのは、採用市場を見てもなかなかいないですからね。

一般企業ではそのような人材が減っていると言われていますが、御社ではいかがですか。

全体としては減っているように思います。逆に女性は達成志向の高い学生が多くなっているように思います。ですから、当社はもともと男性社員が多かったのですが、最近の新卒採用では徐々に女性の採用人数が多くなってきています。

面接は複数回されるのだと思います。複数の面接官が見て、採用したいと思う学生の評価は共通しているものなのでしょうか。

いわゆるトップ層と言われる上位2割の層は、誰が見ても間違いなく高い評価になります。ただし、トップの層には劣るけれども採用基準は満たしているという層の学生は、面接官によって評価が分かれることもあります。

つまり、トップ層の人材は能力がバランスよく高いため、評価にばらつきが出ないということですね。一方、次の層は部分的な能力は高くても、全体のバランスでみるとばらつきがあるために、注目する部分によって見え方が異なるのかもしれませんね。ところで、藤田さんが三菱商事に入社された理由をお聞かせ願えますか。

私はもともと役人志望だったのですが、役人の知り合いに話を聞くと、どうもイメージしていたものと違ったのです。とにかく、海外で大きなプロジェクトに関わりたいと考えていたので、そのためにはどこが良いかと考え、当社に入社しました。私自身は典型的なインフラ志向の人間だと思います。

当時学生として、三菱商事のどの部分に魅かれたのでしょうか。

やはり活躍できるフィールドが大きいということが一番です。あとは惹かれる人材が多くいたということもありました。「組織の三菱」というか、チームでプロジェクトをおこなうという点も魅力的でした。

そのようなイメージや思いというのは入社した後もあまり裏切られなかったのでしょうか?

あまり裏切られませんでした。当社はフィールドが大きく、多くの人がおりますので、色々な接点があります。実に懐深い環境だと思います。

今の新入社員も藤田さんと同じような理由で御社を選ぶ学生は多いのでしょうか。

同じような志望理由の学生ももちろんいます。全体の志望理由を見ると、大きく5タイプぐらいに分かれます。1つ目のタイプは、私と同じインフラ志向系です。大きい仕事をやりたいと言って入社してくるタイプで、体育会系に多いですね。もう1つは早い時期から事業経営をしたいというタイプです。三菱商事には事業投資先の子会社が多くあり、また、有名な関連会社の社長もいますので、その影響が強いのでしょう。当社にいながら経営に携わってみたいと考えているこのタイプは、キャリアに対するモチベーションも強い人がほとんどです。最も多いのはこの2タイプで各30%ずつ、計60%程度ではないでしょうか。残りはいわゆるCFO等になりたいという人材が20%、あとは法務や特殊な専門スキル系が5%ほどで、残り15%ぐらいは「三菱商事だとかっこいい!」と言って入ってくる人です。プレゼンが上手でつい採用してしまうのですけれど(笑)。

(笑)。先ほどお話にありましたCFOを志望する学生が多いという話は意外でした。CFOというとエリートコースだと思うのですが、そのような志向を持つ人材は今までイメージしていた商社マンとは随分違うように感じました。やはり商社マンというと、インフラ志向のイメージが強かったものですから。

事業投資というビジネスの形態が広がったことが要因として挙げられると思います。それにより、経営について興味はあるけれども、経営者タイプではないと思っている人材が、選択肢の一つとして当社を選んでいるのだと私は考えています。