経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.014 ブックオフコーポレーション株式会社(松下展千 氏)

ブックオフコーポレーション株式会社(松下展千 氏)

樋口:
ご自身とマネージャーの方々に深さの違いがあるとすれば、それは何の違いなのでしょうか。

松下
おそらくそれは一緒に泣いたり、けんかをするなど深く関わってきた人数の差なのでしょう。多くの人と関わることで、愛情の深さが増し、それが人間的な深さに比例しているのだと思います。あるいは、意志の強さでもあると思います。彼らには、お店をこういうふうにしていく、この会社をこういうふうにしていく、自分たちのチームをこういうふうにしていく、仲間を守っていく、という非常に強いこだわりがあります。ともすると、きれいごととして片づけられてしまうようなことですが、この愛情の深さや会社や人をより良くしていこうという意志の強さが当社の強さにつながっているのだと思います。

上司のご機嫌をとることや出世など自分のレベルアップだけを考えて仕事をしていると、なかなかそのような深さは身につけられないですよね。

おっしゃる通りです。少なくとも現場のマネージャーは上ではなく、お客様や一緒に働く仲間を見て仕事をしています。ただし、管理部門、要は経理や財務、法務の人間は働いている環境が違うこともあり、会社の文化への共感度合や浸透具合に差があるのが実情です。今後現場と管理部門を一つの会社としてどうまとめていくかは当社の課題であると言えます。仕事自体も違うし、専門性など求められる能力も違うため、評価体系や、管理職としてのあり方も現場と管理部門では少し異なります。これまではボトムアップを重視し、現場に文化を浸透させることに力を入れ、成功してきています。そのため今後は管理部門にも同じように力を入れることで、更に人も会社も絶対に伸びていくという確信はあります。具体的にはジョブ・ローテーションも含めて、管理部門のキャリアパスのあり方をどうしていくのかということを考えています。

管理部門は全社的にみるとマイノリティですので、処遇が難しいですよね。ところで、松下専務は財務や管理部門全体を見ていらっしゃるのだと思うのですが、通常人事に関してはどのくらい時間を割いていらっしゃるのでしょうか?

実は人事権は(管理部門においても)現場が持っていますので私はそういう面には殆ど関与していません。私がおこなうのは、人事制度などの全社的な仕組みや全体の人事戦略、コンプライアンスの分野ですが、おおよそ頭の中の三分の一を占めています。

仕組みや人事戦略は全社に関わることだと思うのですが、そのような部分はすべて松下さんがお一人で考えていらっしゃるのでしょうか。

私自身が考えるのとは別に会議でもよく話し合っています。例えば、現在当社は月休7日なのですが、それを「週休2日にしよう」「年間休日106日にしよう」という話をしています。しかし、「そんなことをしたら店舗は人手不足になる。人手不足になると労働分配率が上がって利益が出なくなる。そうすると店長の負担が大きくなる。」と現場から不安の声が上がったのです。それであれば、みんなで何がネックなのか、どんな不安があるのか、全部書き出して議論をしようと言って、現在進めているところです。まだまだ未熟な会社ですので、仕組みの根本的な部分からきちんと現場も含めて議論をし、納得ある形で浸透させていきたいですね。

お話の隅々から「お客様と接するのは現場であり、会社としてその現場を大切にする」という御社のこだわりが伺えました。ありがとうございました。

CompanyData

ブックオフコーポレーション株式会社

■会社名:ブックオフコーポレーション株式会社
■代表者:代表取締役社長 佐藤 弘志
■設 立:1991年8月1日
■所在地:神奈川県相模原市古淵2-14-20
■URL:http://www.bookoff.co.jp/
■事業内容:
中古書店「BOOKOFF」の展開と、新規中古業態の開発・運営・加盟店経営指導