経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.035 株式会社アイケイコーポレーション(高橋耕平氏)

成長できるかは「素直さ」がカギ 株式会社アイケイコーポレーション(高橋耕平氏)

オートバイ買取専門店「バイク王」の展開で知られる株式会社アイケイコーポレーション。1998年の設立以降着実に拡大を続け、現在では全国に100店舗を展開する同社の人事グループマネージャー 高橋耕平氏に人材へのこだわりや、人事としてのあるべき姿について伺いました。


樋口:
高橋さんはずっと人事や採用のお仕事に携わっていらっしゃるのですか?

高橋:
当社に入社してから人事戦略に携わるようになりましたので、今年の5月で丸5年になりました。もともと当社には人事制度構築のプロジェクトメンバーとして入社したのですが、1年半前から人事の責任者を務めることになり、新卒採用や育成にも携わるようになりました。ですから今は日々勉強の連続です。

今一番の悩まれているお仕事は採用ですか。

そうですね。人事にはそもそも答えがありませんので、悩みも多いです。今一番時間を割いているのは、採用活動ですね。

今私は採用の的中率について色々な企業の人事の方からお話を伺っているのですが、御社では、入社後1年経っても「期待通りだな」と思える人材の割合はどのくらいだとお考えですか。

もちろんその結果には採用だけではなく、1年間の現場の教育も影響しているのだと思いますが、6、7割の新入社員は当社に適応して成長してくれています。

素晴らしいですね。そのように期待通りに活躍される方には何か共通点があるのでしょうか。

まず、採用基準で最も重視しているのが「素直さ」です。当社は若い会社ですから、社訓や経営理念、ビジョンに共感していただくことがとても重要です。ここで「素直さ」がなければ理念やビジョンに共感していただけません。また、当社の教育制度はまだ均一化が図れていないところもあり、上司によって教育方法が異なる場合もあります。どこの企業においても社会に出ていけば理不尽だと思うこともあるとは思いますが、それを受け入れて自分の成長につなげられるかどうかは本人の「素直さ」によると考えています。

実はどの企業でも学生の採用に共通する要因が3つあります。そのうちの1つが、「素直さ」なのです。御社では素直さは選考時にどのように見極めているのでしょうか。

面接では、自分自身を客観視できているかどうか、で判断しています。特に過去の出来事を伺った時に、冷静に自分自身を見て、自分の良かったところや悪かったところ、その理由まで、把握出来ているかを確認しています。言い換えれば、何かのせいにせずに自分の責任として捉えているか、責任を持って行動しているかどうかです。たとえ結果的に失敗したとしても、素直に自分の問題として捉え、次から変えようとする人は成長しますね。社長の加藤(代表取締役社長 加藤義博 氏)もよく『「他責」ではなく、すべて「自責」で捉えろ』と言っています。


学生だけでなく、私たちも成長の機会は失敗をした時だけですよね。成長を目指すと、与えられる仕事の方が能力より常に高くなりますから、失敗するのはある意味では当たり前です。ですから、失敗の話を聞いて、そこでどう自分を立ち直らせたか、どう学んだかというエキスが大切ですよね。私自身も「自責」「他責」という言葉はよく使います。

「自責」という言葉以外にも、加藤は学生や若手社員には「カッコいい大人になれ」ともよく言っています。「居酒屋で愚痴り合っているようなサラリーマンみたいにはなるなよ」と(笑)。30、40代になっても若いころの気持ちを持ち続けるにも、やはり素直に自責で物事を捉える事が大切だと思います。

その通りですね。「素直さ」の程度にはいろいろあると思いますが、「素直だな」と感じる学生の出現率は、どのくらいでしょうか?

素直さは基本的には皆さんにあると思っています。ただし、私たちが引き出せるかどうか、という問題はあり、選考で素直だと感じるのは7、8割ぐらいです。特に当社にエントリーしていただける方は、あまり会社の規模には比重をおいておらず、ビジョンや会社を自分で変えたいという素直な気持ちで志望される方が多いように感じています。

私は仕事が出来る人とそうでない人を個人的に分析しているのですが、その二つを分ける要素として発見したことがあります。それは自尊心と向上心のバランスです。自尊心が高いことはいわゆる「出来る人」の共通要素です。しかし、本当に「出来る人」はその自尊心を上回る向上心を持っているのです。例えば、野球のイチロー選手も「自尊心」は高いですが、それを上回る「向上心」があるから成果を出し続けているのだと思います。「自尊心」がどんなに高くても、「向上心」がそれを上回っていれば、組織の中で偉くなったり、すごく良い仕事をしたりしているものです。その反面、転職を繰り返してしまう人は、自尊心が向上心の邪魔をしてしまうのです。このような人が「他責」になってしまうのでしょうね。