経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.035 株式会社アイケイコーポレーション(高橋耕平氏)

成長できるかは「素直さ」がカギ 株式会社アイケイコーポレーション(高橋耕平氏)

樋口:
ところで、先ほど現場で活躍している人には「素直さ」が共通しているとのことでしたが、それ以外に活躍する、成長する要素には何があるとお考えですか?

高橋:
上のポジションに上がるということで考えると、素直さに加えて自立心が必要です。つまり自分で物事を考え、分析した上で行動出来るということです。中には上から見たら生意気に写るケースもあるかもしれません。もちろん、礼儀や、身だしなみ、TPOをわきまえたコミュニケーションは、最低限必要ですが。

それは向上心とも言い換えられますね。向上心があり、問題意識があると、視点が高いために現状に対して問題意識を感じて意見を言うようになります。しかしそれが他責になると単なる批判や文句になってしまうのです。

そうですね。言い訳に聞こえるか、それとも提案や改善案に聞こえるかは、本人の熱意や信頼関係によって変わってきます。結局そういったところが、優秀さにつながるのでしょうね。
当社の新卒採用では、専門学校生から短大、大学、大学院まで、資質の部分は同じ基準で見るようにしています。

面接では資質を重視されているのですね。先ほど素直さについては伺いましたが、その他の資質は面接でのどのような話題から感じるのでしょうか。

新卒の場合は説明会、グループディスカッション、人事担当面接、各部門のマネージャー面接、役員面接の5ステップがあります。一次面接では「入社後にどんな業務に取り組みたいですか?」といった未来を問うような質問をしてフィルターをかけています。逆にマネージャークラスの面接では過去を掘り下げ、素直さや自立心を確認するようにしています。面接では「今まで学業以外に一番一生懸命に取り組んだこと」を聞くことが多いです。ただし、一番目は用意されているケースが多いと思いますので、一つだけではなく、複数確認するようにしています。またエピソードごとに何か学びがあるはずですので、それを伺います。そのエピソードは少なくとも1日以上前に起こっているはずですから、面接までの期間に学びを活かしているかどうかも事実として確認するようにしています。学んでも実行出来ていなければ単なる夢物語のようなものですからね。

御社は個人の未来と会社の未来がある程度あっているか、という価値観のマッチングと行動事実の確認を段階を分けて行われているのですね。価値観の刷り合わせは一緒に働く仲間を集める上では非常に大切です。一方で評価は行動事実が対象となります。行動事実で評価することは、初対面では難しいですがとても重要なことだと思います。よく面接で聞かれる「学生時代に頑張ったこと」は、彼らがやりたいことの中で頑張った話です。しかし会社に入るとやらざるを得ないことで頑張らなければなりません。そのギャップは教育コストで埋めなければいけないと私は考えています。やりたいことを頑張る人は多いですが、「やれ」と言われたことは極端にパフォーマンスが落ちてしまう人も少なくありません。そういう人材には「やるべきことをやること」から会社が教える必要があるので、教育コストが高くなってしまいます。その差を面接でなくしていくことが、入社後のコスト軽減につながっていくのでしょうね。
ところで新卒採用の方が多くなってきたと伺っていますが、中途採用と新卒採用はどのような目的で双方の採用をされているのでしょうか。


バイク王 千葉店

当社は全国に店舗があるので、新卒の採用は全国で採用し、中途採用は店舗展開に合わせた採用をしています。新卒採用は、2012年新卒採用でちょうど10年目になります。最初の5年くらいは、10~30名の採用規模でしたが、ここ3、4年で50名以上の採用数が確保出来るようになってきています。今後は新卒採用を中心に行っていきたいですし、まだ計画段階ではありますが、4月に一括でおこなう春採用だけではなく、秋採用についても、近々対応していきたいと考えています。当社の繁忙期は引っ越しシーズンですとか、軽自動車税の切り替えのタイミングである2月・3月・4月です。ですから繁忙期の中で入社していただくよりは秋に入社していただき、数か月間の研修期間を経て、繁忙期に至る方が当社のサイクルに合致していますし、世間の流れにも適合するのではないかなと考えております。
また、まだスタートしたばかりですが、東日本大震災の被災地での採用も当社として何かできることはないか、と準備を進めて数名の採用を決定しています。ちょうど、先週も仙台で、学生の面接をしてきました。被災というのはある意味、理不尽な話です。先ほど資質が話題に出ましたが、被災というご経験を通じて、どう感じるか、どう行動できるかは人の資質によって明確に差が出てくるのではないかな、と考えています。それは被災地の方だけではなく、他の地域の方でも同様です。ですから面接時にどう感じたかは多少なりとも触れるようにしています。