経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.035 株式会社アイケイコーポレーション(高橋耕平氏)

成長できるかは「素直さ」がカギ 株式会社アイケイコーポレーション(高橋耕平氏)

樋口:
お話は変わってしまうのですが、高橋さんのお話を伺っていると、加藤社長はどんな方だろうと興味がわいてきました。社長はどのような方を評価しているとお感じになりますか?

高橋:
当社は営業が中心ですので、最低限の成績はもちろん見ていますが、それに加えて自分の成長だけではなく人の成長を喜べる、人のためにどれだけ感情を出せるかというところを見ているようです。テクニックとして物事を伝える方法や、話の聞き方はありますが、根底にあるのはやはり熱意ではないでしょうか。社内ではそれを「アイケイイズム」と呼んでいます(笑)。

「アイケイイズム」ですか。

素直さがあり、周囲のモチベーションを上げられるといったことなどを総括して呼んでいます。具体的には部下のせいにしない、部下の成長を喜べる、そのために本気で叱れるなど人のために行動できるかということです。通常人事考課では、上位役職者になればなるほど基本的な心構えはあって然るべき、ということで評価のウエイトが低くなるものです。しかし、当社の場合は役職が上がってもその心構えを忘れていないかを主にチェックしています。当社でおこなっている360度評価も、人事考課では特に重要視しているところですね。
当社の商材はオートバイですが、加藤は最も重要な経営資源は「人」だと常に口にしています。人への思いは、人材の「材」の字を、財産の「財」の字にするところにも現れています。

やはり中小企業の経営者のお手伝いをしていても、後継者や次世代リーダーに選ぶ基準はチームや組織の為にできる器があるかどうかなんですよね。経営幹部は責任が重く、給料はどう考えても見合わないのです。ただ、それを楽しめる人だけが、幹部になれるのです。加藤社長がおっしゃっていることと非常に近いですね。最後に、高橋さんが人事面・あるいは組織面で、近い将来にどんな会社にしたいかを教えていただけますでしょうか。


バイク王ダイレクトSHOP 蘇我店

おかげさまで「バイク王」のブランド展開は認知度も高まり、サービスの柱として成長してきました。現在はバイク王に続く柱として小売販売店「バイク王ダイレクトSHOP」をバイク王と同じぐらい拡大していくための助走期間だと捉えています。よって、販売店の出店や事業拡大の加速度を上げていくことになると思いますので、人事としては適正人員や等級制度、報酬制度、福利厚生の土台を固めていくことを考えています。もちろん社内独自の教育制度や、評価制度、キャリアプランは現在もありますが、良い人財に長期的に定着してもらうために、まずはスタンダードな政策をうち、これからの店舗展開に十分耐え得るような制度を作っていきたいと思います。
一方、個人的には新卒の括りの中でも、中国を中心とした外国籍の方が活躍できる風土づくりにも力を入れたいと考えています。女性は当然のこと、高齢者や、外国籍の方、障がいを持った方も含めて多様な人財の活躍を後押しする人事を念頭において同時に進めることが、私自身の成長にもつながるのではないかと思っています。

私は、人事部は資格や専門知識を身につけることではなく、現場のように「収益」を考えなくてはならないと思っています。ビジネスの観点を失った人事部はどんどん保守的になってしまいますから。しかし、人事マネージャーは熱い想いが必要で、社長とぶつかりながら施策を進めていくことが理想的だと思っています。そう考えると高橋さんと加藤社長は理想的な関係ですね。

やはり現場を理解せずに手続きだけをフォーカスしてしまっては、社員からの満足は得られません。現場では何が問題なのかを人事が理解しない限り、現場の方々も人事に頼ってくれません。社員に対してサービス展開し、頼ってもらうことが人事だと私は考えています。ですから営業活動と同じように社内に顔を出すようにスタッフには伝えていきたいですね。また経営層とはある部分で意見相違が生じる可能性もありますが、成長性と安全性のバランスをとりながら、活動しなければいけないと思っています。
人事はともすると綺麗ごとに走りがちですが、当社の人事メンバーには泥臭いところを経験してほしいですし、私自身も現場の社員と苦労を共にし、一緒に汗をかいていこうと思います。例えば繁忙期に本社の社員が現場やコールセンターに応援部隊として1、2週間出向する機会を増やせば、現場も人手が足り、本社も現場とのコミュニケーションが図れ、理解ができるという点で良い発見があるはずです。このような取り組みを今後より拡充していきたいですね。


御社は、急成長されてきた分、土台固めや現場とのコミュニケーションが大事なのでしょうね。本日は本当に楽しかったです。貴重な機会をありがとうございました。

 

CompanyData

株式会社アイケイコーポレーション

■会社名:株式会社アイケイコーポレーション
■代表者:代表取締役社長 加藤義博
■設立:1998年9月(創業1994年9月)
■所在地:〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-1-39 恵比寿プライムスクエア18階
■URL:http://www.ikco.co.jp
■事業内容 :
 オートバイの新しい流通システムを提案する「バイク買取専門店」の経営