経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.053 株式会社アライブメディケア(竹内啓氏)

今後の事業を担うのは想いと合理性のバランスが取れる人材 株式会社アライブメディケア(竹内啓氏)

スタッフを倍にして力を発揮する領域を増やす


ホームエントランス

樋口:
ほとんどが女性なんですね。

竹内:
ご入居者の85、6%が女性で、平均年齢が87歳くらいです。圧倒的に女性のほうが多いんです。やはり男性と女性では平均寿命が違いますから。仕事が仕事ですから同性介助にこだわっているので、スタッフも女性を多くしているのです。そうするとどうしても家庭の事情や色んな理由が絡んで退職自体はコンスタントに出ています。常勤正社員で毎年退職率が10%前後です。

毎年10%というと業界で見ると低い方ではないでしょうか?

業界の基準に照らし合わせると、かなり低い方です。当社では環境整備や処遇に気を使っていますから。当社の場合、平均的なホームよりも倍近いスタッフを配置しています。スタッフの数が多いと、介護に対する思いや自分なりの考えを持っているスタッフが自分の力を発揮する領域が多くなります。

御社は高付加価値なサービスを売りにしていらっしゃるとのことですが、中途出採用で重視することはいったい何なのでしょうか?実務経験2年は最低基準だと思うのですが、経験なのでしょうか?それとも思いなのでしょうか?

まず入り口で履歴書なり職務経歴書なり書類が送られてきますよね。そこで全体を見ます。どういう経験をしてるのか、どのくらいの期間経験があるのか。経験値があまりにも短い方はその段階で不合格にしています。

経験値の問題ですね。

書類審査をクリアした方は面接に進んでいただきます。面接では、スキル、経験値、プラス「人物」で選ぶように面接官に伝えています。「人物」というのは、言い換えれば、社会人としての経験、社会常識の持ち方、社会常識の先にある職業人としてプロ意識です。面接はホーム長と本社の採用担当の2名で行うことにしています。現場の人材だけで面接をしてしまうと、どうしても現場の欠員というニーズに引っ張られてしまい、人物の基準が甘くなってしまう可能性があるからです。

「人物」というのは難しい言葉だと思うのですが、面接でわかるものでしょうか。

人物を見るのはおっしゃるように大変難しいですし、いろんな指標が入ってきてしまいます。一番優秀な層は面接での話し振りや物腰でわかります。また一番下の層もわかります。しかし、真ん中の、一定の幅を持った層は面接だけではなかなか判断しきれないところもあります。ただし、最下位層を誤って採用しないことが重要で、ここがわかれば、あとは現場で欠員があっても敢えてお断りする勇気を持てるかどうかの問題になりますね。

中途採用で応募者の方が御社の現場を選ぶ理由は何なのでしょうか?

共通点は、彼女たちがそれまで勤務していた現場が、人が足りないなどの理由で本人がやりたい「寄り添う介護」ができない環境だということです。例えば身体的にも精神的にも支援を必要としている方に、人が足りないという単純なファクターによってどうしても寄り添う介護が出来ない。一日中食事介助、排泄介助、入浴のような基本的なことだけでバタバタしてしまって、ご入居者とお話しする時間もない。そういうのを毎日毎日続けているとこのままでいいのか、そうじゃないところで働きたい、と思うようになる。そこで何らかのきっかけで当社を知り、我々の理念、考え方を見て、元々自分としてはそういう介護をしたかった、と思って応募される方が多いように思います。