厳選採用が「リテンション」につながる
樋口:
話は変わりますが、今多くの企業で「リテンション(=優秀な人材を自社に確保しておくための施策)」が経営課題になっています。貴社において、具体的に意識されていることや実行している施策などはありますか。
角川:
意識しているのは、やるべき方向性がぶれないよう意識することと、人間関係を良くすることですね。
離職率は元々とても低い会社でした。創業当時の5、6年はほとんどいませんでしたね。最近は辞める人も出てきていますが、それでも年間10%を超えることはありません。
実は、施策として特別に何かしていたということはありません。これは、入社後の「想定外」が少ないからではないかと思っています。当社の場合、「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」という明確なミッションがあり、これを実現化させるビジネスモデルがあります。それはずっと変わらないシンプルなもので、ギャップが生まれづらいのだと思います。
もう一点、当社の人間関係は非常に良好です。それは採用によるところが非常に大きいと思います。また、強みを生かすための各種人事施策であったり、コミュニティ活性化の施策であったり、そこを軽視せず力を入れていることも奏功しているのではないでしょうか。
厳選採用しているが故に人間関係が良好に保たれるというのはすごいことだと思います。
ここは社長が一番フィルターとして強いですね。現場としては能力、経験、それぞれ申し分なくとも、最後社長が「何かひっかかる」ということもある。創業以来一緒にたくさんの人の採用に携わってきましたが、多分その感覚は正しいのだろうと、私は実感しています。
人柄や性格といった感覚的な相性も大切に採用をなさっているのですね。
人をたくさん入れれば売り上げが上がるというビジネスでもありませんし、良くも悪くも競合がいないので、数を稼がなければ、というプレッシャーはあまりありません。むしろ事業を成長させるための人材強化なのでいい人でなければ採りません。