「自分が世の中を変えていく」という想いを持った人ばかりにしたい

樋口：
　人の活用の観点では、今後未来に向けてどのようなビジョンを持っていらっしゃるのですか。

角川：
　自らがSansanを広め、世の中を変えていくという想いを持った、主体的な人ばかりにしたいなと思っています。偶然誰かが起こした風に乗るのではなく、自分たちで風を起こしていくことにずっとこだわっているので、「Sansan最近成長してるから」とか「いけてるって聞いたので」という理由で入社してもらいたくはないですね。プロダクトはある程度成熟してきましましたが、市場として広げていくのはこれからです。大きくなったからといって組織の中で受け身に甘んじる人は、引き続き当社にマッチしないと思います。

　会社の規模というよりは生産性を極めていきたいということでしょうか。

　両方とも重要ですね。
　生産性というと、一般的には効率、一時間当たりの処理能力を指す言葉ですが、それよりはどうしたらもっとSansanが良くなるか、云わば価値を生み出せることのほうが重要かもしれません。
　会社が大きくなるとトップだけの頑張りでは限界がありますし、次第に現場から離れていかざるを得ないでしょう。今後は、「どのような価値を生み出すべきか」「どのように優先順位をつけるべきか」といったような視点を持つことを期待したいですね。

　言い換えれば、ある種の人材育成といってもよいかもしれませんね。素直で人柄のいい人が集まる組織での人材育成はやりがいがありますね。

　月並みながら素直さは非常に重要視しています。変化の早い業界ですから過去にこだわっている人はスピードについていけなくなってしまうんですよね。
　誤解を恐れずに言うと、素直さとは過去の経験を軽視することなのだと思います。前職の営業で成果を出したからと言ってうちで売れるとは限りません。Sansanという新しい商品の売り方に適応する力・学習する能力が非常に大切です。

　そういう意味では、素直さに裏付けられたモチベーションも重要ですよね。

　そうですね。実は当社にはインセンティブがありませんし、ボーナスもフラットなんですよ。

　そうなのですか。それは、新しい価値を提供するというビジネスだからですか。

　その面が非常に強いのと、みんなで向かっていく強い推進力を削ぎたくないという思いがありますね。社員をみても、極端に言うと給与以上に自社サービスにやりがいを求める人が多い。
　そのため、ミッション実現に近づいているぞとか、着実にお客さんが増えているぞとか、会社が前に向かっている変化こそが働く報酬として重要なのでしょうね。

　貴重なお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。