経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.052 ソフトバンクモバイル株式会社、ソフトバンクBB株式会社、ソフトバンクテレコム株式会社(甲田 修三氏)

人材活用のために科学的な人事を ソフトバンクモバイル株式会社、ソフトバンクBB株式会社、ソフトバンクテレコム株式会社(甲田 修三氏)

破竹の勢いで成長しつづけ、同業界だけではなく、他業界にも大きな影響力を持つソフトバンクグループ 。No.1採用やiPadを用いた面接システムの開発など、常に新しい手法に挑戦し続けるソフトバンクグループ通信三社(ソフトバンクモバイル 株式会社、ソフトバンク BB株式会社、ソフトバンクテレコム 株式会社)執行役員  人事本部 本部長 甲田 修三 氏に人事に対するお考えやこれからの人事の方向性についてお話を伺いました。

モチベーションは自分でコントロールするもの

樋口:
最初に、甲田さんのキャリアについてお伺いしてもよろしいですか。もともと営業をなさっていたと伺いました。

甲田:
28歳で中途入社してから8年くらいは営業を経験し、その後4年半くらいはマーケティングの部署で働きました。また、1999年の分社化直前、ソフトバンクが事業持ち株会社制をとったときは経営企画室の室長として異動し一年ほど経験を積みました。その後、ソフトバンクから分社したソフトバンク・イーシーホールディングス株式会社で取締役になりました。その際には、経営計画、法務、財務経理そして人事と、管理部門系の全てを担当していました。その間、子会社の社長や社外役員、監査役を兼務しており、一番多いときで10社以上を兼務していました。さらにその後、ソフトバンク・コマース株式会社へ異動し、取締役経営企画本部長として、管理部門全体を統括しました。
本格的に人事の責任者として働くようになったのは2004年の4月1日からです。2007年までは、事業会社の人事とソフトバンク本体の総務を兼任していましたが、それ以降はソフトバンクグループ通信3社の人事だけを担当しています。

甲田さんは、入社当時どのような思いでソフトバンクの門をたたいたのですか。

若かったこともあり、転職するからにはやりたいことをやりたいという思いはありました。ほかの会社からも内定はいただいていたのですが、当時のソフトバンクの人事責任者が、九州で働いていた私に会うためだけに福岡に来てくれたのが強く印象に残っています。その方と初めて会った日の別れ際に「是非来てくれ」と言われたのです。その後、ソフトバンクについて調べ、親に反対されながらも入社を決めました。
新しいことを次々とやるためには、ルールを自分で作っていかなければなりません。ソフトウェア業界は特にその傾向があると思います。新商品が毎週発表される環境で、売り方がそれぞれ異なっているので、過去の経験をそこまで生かせないのです。しかし、過去の経験だけでは通用せず、常にリセットし、自分で全部考えて、自ら実行しなければならなかったからこそ、極端に言えば半年もいれば新人もベテランと変わらないレベルになる環境がそこにはありました。とても衝撃を受けましたが、エキサイティングな環境でした。

営業から経営企画のプランニング、そして人事というキャリアを歩まれたのは、ご自身の意思によるものなのですか。

全部業務命令です。やりたくないと思っていたわけではありませんが、必死に走っていたらあれやってくれ、これやってくれと依頼されたという形です。

入社された当時のソフトバンクの社員数は、何人ぐらいだったのですか。

100人から150人くらいだったと記憶しています。

その頃は、孫さん(ソフトバンク株式会社 代表取締役社長 孫 正義 氏)に直接報告をしたり彼から指示を仰いだりするような機会もあったのですか。

直接の報告はありませんでしたが、営業会議や新商品の企画会議をはじめ、それ以外でも部課長レベルが出る会議にはよく顔を出されていました。エレベーターでもよくお会いしていました。

入社されてからの25年間は、かなりのハードワークだったのではないかと想像するのですが、ソフトバンクという会社でずっと働くモチベーションは何だったのですか。

要因は3つあります。1つは、全く飽きないことです。営業、マーケティング、経営企画などを専門知識を持たない社員にやらせてくれる会社はほとんどないのではないかと思います。営業時代は2年くらいで全然違うチャネルを担当し、まったく違う仲間とまったく違う経験をさせてもらいました。自分が思いもしなかったことにチャレンジできる、自分の才能や適性を試すようなチャンスは、他の大手企業に比べ多かったと思います。なおかつ、会社の変化も新鮮で刺激的でした。ソフトバンクのソフトウェア流通業界でのポジションは、ゲーム中心だったころから幅広くサービスを展開する現在にかけて、大きく変わってきています。
2つ目は、任せてくれることです。大きな目標を設定されるのですが、実現のための手段については、予算の範囲で自由にできます。そこがとてもやりやすく、信頼されていると感じていました。
最後に、世の中を変える力を持った会社だと信じた事ですね。

任される環境があるということでしたが、もしうまくいかなかったり失敗したりすることがあったときはどうなるのでしょうか。

何がうまくいかないかを追求し、その解決策を提案すれば受け入れてくれる風土があります。ただし、うまくいかないことから逃げるのではなく、自分以外がやってもできないぐらいの気持ちで考え、提案しなければなりません。

御社で活躍するためには、環境に頼るのではなく、自ら失敗に向き合いつつ向上心を持って取り組むセルフモチベーターであることが必要なのですね。

私もそう思っています。モチベーションを与えるのは上司の責任、会社の責任で自分にやる気が起こらない、と考える人もいるようですが、私はモチベーションというのは自分でコントロールするべきだと思うのです。もし、モチベーションを持てない会社だったら辞めなければいけないとすら思います。

セルフモチベーターというのは、急成長を続けるソフトバンクにおいて長く働いている方の共通点なのですか。

そうですね。